艦隊これくしょん -艦これ- 4話「私たちの出番ネ!Follow me!」 視聴感想
主なスタッフ
監督 草川啓造
脚本 あおしまたかし
絵コンテ 稲垣隆行
演出 小坂春女
作画監督 王國年、星野玲香、嵩木樹
視聴時感想
一時停止をしながら感想を書いてます。(時間は目安)
~OPまで
前話からの期待通り、丁寧なストーリーのつなぎ。良。
~OP終了まで
特にOPに変化はなし。
~2:33
長門も口調変わるのね。本人に自覚が無いということも表現していて好き。
~3:56
「あれでは授業など頭に~」のセリフは野暮。言われんでもわかっとるわ!
BGM入りのタイミングを睦月からにしているのは良。
~4:33
前シーンの「時間が解決するのを待つしか無い」というセリフは、ストーリーを切り替えていくという合図だったのか。
~5:38
吹雪の金剛へのあこがれを確認。
「元気のいいGirlね!でも元気の良さなら私だって負けないね!」というセリフには違和感がある。というのも、吹雪は今元気が無いハズだから。あるとすれば、あこがれの先輩に対してとりあえず元気よく挨拶しといた。といった理由くらいか。
~6:08
金剛型四姉妹の登場シーンはオール原画でかなり手を込んで作っていると見える。良。
~6:49
吹雪のイメージは崩れるというシーンだが、あこがれの想像があの少女漫画風イラストだけでは具体的に伝わって来ない。しっかりアニメーションを使って演出して欲しかったところ。
提督という存在を強く意識した艦娘は金剛が初なため、キャラによってストーリーの幅が広がったと言える。
また、提督=あなたの構図があるため(あなたに気に入ってもらうため)金剛は多くの萌的演出がされることが予想できる。
~8:15
作戦説明。
~9:03
睦月の明るい振る舞いはかなり好き。無理に前向きにいつづける事こそが辛さを表現できる。
~9:32
吹雪の辛い現実を受け入れようとしていく姿勢はかなり実際のところはかなり前向きな行動で、睦月との裏表が上手く表現されていて良。また、感情の乗ったアニメーションであったと感じる。
~9:46
見どころの演出出た!金剛から急に話を振られた時の吹雪の目線と「えっ」ってセリフ!完全に昨晩の出来事を思い出している様子が出ている!神演出!
この前のカットでは騒いでいる金剛をなだめる仕草を吹雪はしている。しかしながら話をふられるほんの数秒間に意識を昨晩に移している。普通の状態であれば考えにくい。つまり、ほんの数秒の間でさえも、如月および睦月のことに意識が行ってしまうほど意識していると読み取れる。また、目線を下に落としていたことも「後ろ向きなことを考えていた」と読み取らせる事ができる。
ほんの何秒かの仕草によって視聴者に多くの情報を読ませる事ができる、また、それをごくごく自然にできる、アニメーションの醍醐味を感じる!
~10:55
原画アニメーションが今回多い。
~12:14
アイドルと言えばでこいつの張り合いをちゃんと出すのは丁寧。
~15:53
吹雪の目線でボーっとしているのがわかる。まあ神演出。
~16:04
約6分もの間話がすごくどうでもいい。逆に辛い現実を忘れろというメッセージ性が読み取れる。
~16:56
金剛の「やっと笑った」は吹雪のことを意識して底抜けに明るかったことの証左になる。丁寧なセリフである。
~18:13
4話になっても戦闘シーンは品質が落ちない。良。
~19:00
吹雪の「如月を忘れることができない睦月」を思い出すシーンによって、「私が死んでしまったらもう睦月は立ち直れなくなる。」という事が読み取れる。つまり次の「嫌だ、嫌だよ」は単純に自分が死んでしまう事が嫌ということも読み取れるが、睦月にこれ以上そういう思いをさせるのは嫌という思いの方が、吹雪のキャラを計算に入れても筋の通った読み取りと言える。
~19:19
成功体験から調子こいてピンチむかえるという展開はいいんだけど、ピンチ迎えた時の解決がワンパターン。
~20:00
この一連のシーンは考察にて。
~last
吹雪の抱きしめによって現実を受け入れ、睦月がやっと前に進む。黙って抱きしめる。また証左として防波堤には行かなくなる。
夕日の光彩が美しい。
今回の考察
今回は金剛が吹雪を救出した一連のシーンでの解釈について考察する。
実際のセリフ:吹雪「わ、わた」
言おうとしていたセリフは一連のシーンを読んで「私、わかってなかった」であると考えた。
自分自身が如月の死を受けた上で、改めて死を体験することで本当の死の怖さ(仲間に与えてしまう影響)を知ることができた。そして、睦月の気持ちを本当に理解していなかったということを自覚したと読み取れる。
実際のセリフ:金剛「大丈夫、ちゃんとわかりますよ」
ここで金剛が吹雪の気持ちを読み取れていなかったというのは筋が通らないので、吹雪の言いそびれの内容は理解していると読み取れる。その上で、「大丈夫、私にもわからなかったということがわかる。そしてみんなちゃんと分かるように成長したんだ。」という二つの意味での、全肯定での「わかりますよ」と読み取れる。
実際のセリフ:吹雪(そうか、そうなんだ。)
金剛の発言を受け、艦娘の皆が通る道であったことがわかり、みんなそういった恐怖と共に戦場に出ているという事が読み取れる。
実際のセリフ:吹雪「あの、金剛さん」
金剛への感謝、また、金剛の睦月的トラウマからの成長について訪ねようとしていると読み取れる。
実際のセリフ:金剛「一気にキメまーす!」
これは原作のボイスにあったものである可能性が高いと感じた。しかしながら、ここで原作ボイスをわざと入れることによってここでは、「金剛の艦娘の暗い部分を覆い隠すための底抜けに明るいキャラ」と「成長した吹雪への安心」を強調することができる効果がある。良。
総評
4話もレベル高い!(ただし読み手のレベルも求められる。)
4話を見て思い出したのが「風立ちぬ」であった。「風立ちぬ」は一般向け(ザコ向け)のキャチコピーとしては純愛ストーリーして読ませ、ちゃんと読み取れるやつには自己中二郎の美意識物語と読み取らせた。そしてその二者を巧みなメディア戦略によって両立させ、莫大な興行収入を叩きだした。
一方で「艦これ」4話についてはそういったメディア戦略などできるはずもなく、その中で読み手を信頼した展開をしたのは評価できる。
点数付け(100点満点)
演出・作画(30点満点) 30点
目線の演出は神でありあの演出によって長いギャグシーンも鬱話の裏返しであるということが読み取れる。戦闘シーンもワンパターンではあったが良。(また満点出しちゃったよ。。。)
脚本(30点満点) 30点
金剛のシーンはもうちょっとセリフ言わせても良かった気はするが、それでも、キチンと文脈を読ませる内容を作っているのは良。
その他(40点満点) 40点
読み手のリテラシーを信用した脚本・演出の姿勢はかなり評価できる!
合計100点!